hst 竣工

7月末に竣工、12ヶ月と長きに亘って施工していた住宅 hst。
竣工から一ヶ月が経ち、ようやく緊張がやわらぎリフレッシュできました。
というのも、今回デザインを実現するための確認作業が多く、且つ最後の最後まで気の抜けない状態だったもので。。。

まず、斜面地に対して住宅としてはかなり大きなヴォリュームの建築。
そして、垂直方向にダイナミックにシーンが展開するデザイン。
また、RC造、鉄骨造、木造と多種に亘る構造。
複雑な建築を理解して頂くため現場監督さんと何度も打合せを重ねて、且つ現場確認を何度も何度も行いました。
そうして、いろいろな方の頑張りがあったおかげで、密度の濃い住宅が実現できました。

さて、その実現のために施主への気配りは勿論のこと、施工者への気配りも欠かせません。
まず、手を抜いて施工されたものは論外ですが、つくったものに対して基本的にはやり直しをさせないという姿勢で臨んでいます。
というのも、再施工しても良いものがつくれると思っていないのと、そもそも皆、気持ちの良い感じがしないから。
そのために、造る前に施工図チェックは勿論のこと、工程がスムースにいくような対応(時には融通きかせてもらうときもありますが)、図面確認から時間がしばらく空いたら施工前に要点再確認、各種工事の施工終了時にチェックだけでなく途中にチェックして修正があっても最小限にとどめるようにするなど、現場サイドに協力していく姿勢を示して少しでもモチベーションを高くして貰うよう努めています。
そもそも、目の前にあるココが180度振り返った後ろのアッチと実は関係しているので誤差がほとんど許されないなど、施工精度の高いことを求めているのならこちらも手を抜けない。。。(笑)

アレコレ書きましたが要するに、図面があれば自動的に望む方向の仕上がりになる訳ではないということです。
というのも、設計監理者⇒ 現場監督(総責任者) ⇒各種工事担当者 ⇒職人 という流れで基本的に意思伝達されています。勿論、現場で現場監督立会いのもと直接職人さんと折衝することもありますが、基本的には上記の仕組み。(設計監理者と現場監督を両方兼務してやる場合もありますし、 設計監理者と現場監督が同一社内の人が行う場合もあり、そうなると状況はかわりますが。 )
そのため、図面で描いてあっても読みきれず間違ってしまったり、要点を伝えてもうまく意思疎通がとれていない場合があったりします。そもそも設計監理側が技量不足で不十分な伝え方だったり、図面では想像できてなくて現場にて気がつくという場合もありまして。。。(苦笑)
とにかく、気持ちよく造っていただけるよう気を配っています。  最終的にそれが良いしあがりにつながると思うので。

ところで、現在施主さんの友人にて造園工事が行われています。
ボクの仕事は終わったのですが、どのような感じで仕上がるのか興味があり施工の様子をチョコチョコ拝見。
それで、先日工事の合間にお話をしている中で、本当の完成というのは30年後とか自分が仕事を引退するぐらいかなというのが印象的でした。幹も太くなるし、当然枝葉も伸びるのでその都度剪定したりしていくのでと。
今だけでなく、どのスパンで仕上げるかという視点も気を配りながら施工されているようでした。
それは、施主の思いを代弁してカタチにしているようでもあり、その影響をうまく建築も作用していったらいいなと。
キザな言い回しですが、世代を超えて愛される『生きる建築』になっていったら最高だなと。
仕事を終えましたが、今後を見続けていきたいと思います。