現代日本建築家全集15 吉阪隆正・芦原義信 (1971)


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■現代日本建築家全集15 吉阪隆正・芦原義信 (1971)
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作風のからいってどうしてこの二人を組合せでまとめたの?という感じに思っていました。
吉阪さんは人間の中の不合理なものを大切にして、必ずしも完結を求めないでヒューマンなものを追いかける。
芦原さんは不合理なものをなるたけ合理化して、また形態としても美しくハーモニーのあるものをつくる。
ただ、人間的な建築という括りでは共通するのではということでこの組合せになったようです。
以下、気にとまった言葉をメモしました。
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□濱田泰三 _ 都市と人間の原点
・都市化は今日の産業構造の変化によって生み出されるが、同時にそれはまた産業構造の変革と発展を生み出す主たる要因の一つともなっている。
 私たちにとって可能なのは、そのような都市化の進展の速度をある程度調整し、その無制限に拡がる方向に何らかの枠を与えることに留まるだろう。

・偶然の可能性に充ちた空間として存在するところにこそ街の通りというものの魅力はあった。
 (道路が自動車通過の機能を果たすためのものになる前の道路/建築の内部空間のような生活のあった道路)

□座談会 _ 中根千枝、吉阪隆正、芦原義信、栗田勇
・日本人にはネットワークの観念がとても弱い。むしろ面の概念が非常に強い。(文化人類学)
 環境要因(共同防御のため外郭をかため内側に収斂していくと、自然に恵まれて気軽に発散的に外に向かう)
 ⇒ 壁の文化と、柱の文化。
 ギリシャ・パルテナン神殿は? ⇒ 森林文化+壁の文化 の現れ   ⇒ 壁の文化のローマの柱は装飾

・昔は道路で将棋をうったり、いわゆるコミュニティがあったけど、自動車交通の出現で崩れた。
 入り隅のある空間、抱え込むような空間は現在のような道路割りではできない。
 道路と建物しかないと、そのあいだの緩衝帯、コミュニティはできない。
 ⇒ ソニービル(道路をそのまま内部に入れるような計画)

□芦原義信
・わが国では伝統的に建築の外部というものにたいして極めて無関心であり、外部空間の充実という構想は希薄であった。木造住宅というものに、家族制度から由来する内部充足的な内部秩序(仏壇、床の間、靴をぬぐ)があったからであろう。
 逆に、西欧の舗装の歴史は極めて古く、住まいの中でも靴をはいているということは一軒の家の壁に内部外部の境界をおいているのではなく、個人の心の内外に境界をおいているとも考えられる。
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■天野寛志建築計画事務所 天野寛志
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