いま、見えない都市(1985)_磯崎新


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■いま、見えない都市(1985)_磯崎新
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60年代に書かれた「見えない都市」を基に、1985年当時の都市に対する考えをまとめられたもの。
モダンニズムの解体が行われていたけれども、行き着く先はわからず手探りで理想を求めていたことがわかる。
現在は、さらにインターネットの発達で現実とは別の世界が個人単位でつくられ一層世の中が複雑で混沌としている。
そして、解体の始まりは60年代からで、且つ50年以上経った今もまだその解体途上にあるのかもしれないと思いました。
留めておきたい言葉を書き留めておきます。
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□20年後の見えない都市
・日本では〈かいわい(界隈)〉が感知する都市_ この言語表現のほうがより正確に実感をつたえている
・見えない都市の出現_ 表層だけに還元されてしまった看板やファサードや道路標識だけが埋めつくし、
            人間は身体的な空間知覚を介してでなく、単純に記号を認知するだけで行動している
・記号の支配する空間_ 関係だけが意味をもつ空間、または継続的にその断片だけを感じとりうるような
            不連続な空間としてのみ現象(透視画法で測定したような視覚的空間として把握されない)
・プロセスだけが信じられる_ 目にみえているこの都市は、流動する過程におけるひとつの断片
               断片は全く固定されることもなく、たちまち次の相への移行がはじまる
               そのようなうごく外貌をもった都市においては、プロセスだけが信じられる
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□ポスト・モダンの時代的背景
・ポスト・モダンの傾向_ 近代建築のあとに何が起きてくるか 
            「ハイテック」「ヒストリシズム」「アート・オリエンティッド」
・デザインと歴史的背景_ ポストモダンというのは、平均化した中世的なものに評価をおくのではなくて、
             ある種の極端なところまで追い詰めようとしている動き
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□ポスト・モダンの時代と建築
・ポストモダン_ 時代認識にかかわる言葉(この時代をどう解釈し、取り組むか)
 ポストモダニズム_ イデオロギー(時代認識に対して、自分のある行為と思想をかかわり合いを持って提出していく考え方)
・モダニズムの解体_ 合理主義は追い詰めていくと、とことん拡がってしまう 
          ⇒ 緩衝装置がうまれる = 自然主義、人間主義(歴史上神に代わる絶対的基準)
・合理主義の様々な流れ_ 機能的な合理主義(ex.スーパースタジオ、アーキズーム)
             歴史そのものが合理主義(ex.アルドロッシ)
            ⇒ どちらとも主義を追求すると人間が消えてしまうところまで行き着く
・記号のつくる世界_ 事実のつくる世界から、記号のつくる世界にとって変わった時代(ポストモダン)
           リアリズムであったモダニズム=歴史批判をしながら前衛が組み立ててきた 
          ⇒ その前衛の役割・芸術の役割それ自身を自己批判によって自己解体をうながす=前衛の死 
          ⇒ その後残ったものは、無数の記号が浮遊している状態
・テクノロジーの分裂的支配_ 分裂症的状況に対する補完作用(救済) ex.日本的なるもの
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□建築家が選ばれる時代
・いちばん決定的な空間体験というのは、ある種のエクスタシーそのもの。 
 問題は、いま建築にたいして、そういうエクスタシーに到達するような空間を必要としなくなっていきつつあるのではないか。
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□都市論への視座
・コンテクスチュアリズム_ 70年代以降に注目 ”たがのはずれた合理主義”によるラディカリズムによって、
              近代建築が解体されてしまったときに、やはり建築の成立する根拠を必要とした、
              その根拠づけにもっとも適切であったため 
              (内側の需要だけによって決定されていたものを
               外側のコンテクストだけによって決めるという逆転現象) ⇒ トポス論
              ただし、都市は建築からみて攻撃あるいは防禦の対象ではないのか。
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■天野寛志建築計画事務所 天野寛志
建築・アート・風景を中心に日々の思考を記録しています
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