木の無垢材とは何であるかを考えた。
突板のように薄くスライスされた木材を合板の上に貼った材、プリント合板のように高度な印刷技術によって木の風合いを再現した化粧シートを表面に貼った材がある。
無垢材にくらべて、反りを防止してくれたり、メンテナンスがしやすかったり、価格が安かったりする。そして、一瞬見ただけでは無垢材と見間違うほどの材もある。
高度な技術によってつくられた非常に優れた商品である。
ただし、人間の都合の良いようにコントロールすることで失われていったこともあるのではないかとも思っている。
そこで、木が本来持っているものを再度見直し、少し引き出し活用することを考えた。
まず、節があるもの、曲がっているもの、黄ばんでいるもの、を少々受け入れることにした。
人間の都合にあわせてコントロールすることと同時に、あるところではコントロールをせずに木の都合により添い合わせながらつくろうと。
そして、切断面にこだわった。
ある面は、帯鋸で製材した荒くザラザラとした状態のままを仕上げとした。
ある面は、上記の状態からさらにプレーナー加工と手鉋を施しツルっとさせた。
正面から見るとツルっと凛とした表情をしているが、斜めに見るとザラザラとやわらかい表情をしてみえる。
また、肌触りが違うことでザラザラした面はツルっとした面以上にぬくもりを感じる。
こうして、やわらかくもあり強さを持ち合せた存在の棚とテーブルになったのではないかと思う。
そして、木材の側に少し寄り添ったことでこれから生まれるであろう場や材の変化を楽しんでいただきたい。
仕様: クリ – 長野県茅野/樹齢30~40年/直径30cm (無塗装、ソープフィニッシュ、ウレタン塗装)
スチール (黒皮素地)
デザイン: 天野寛志建築計画事務所
製材: 有限会社 カクダイ製材所
製作: Budouya Furniture
スチール加工: OLDKING