原風景_うちのおやじ。

ハッキリとそう心にきざまれたのは小学6年生の時。

ある時、ボクの家族といとことで富士山周辺にドライブしにいくことがありました。
具体的にいつ行ったのか思い出せませんが、真夏だったのは確か。
その日は天気が良かったので、富士山に行ってちょっと散歩しようと。
それで五合目から登りはじめました。おやじの号令のもと。
そもそも富士山は、日本アルプスとくらべると
路面に土があまりなく砂利や礫のようなものが多いです。
だから、地面からの照り返しが強いし、路面はズルズルしているので一歩一歩、進める距離が短くなります。
説明しなくても当たり前ですが、いわゆる散歩って感じじゃありません。
ですが、ちょっと登ることは、うちのおやじにとっては散歩らしいのです。
それはそうと、富士山に山登りに行くということではありませんでしたので、ちゃんとした装備をもっていません。
ということで、6合目まで行って引き換えす予定でした。
ですが、途中でボクの親父がちょっくら山頂まで行ってくると言い出しました。
その日は天気がよく下から富士山の頂上が良く見えました。
その眺めがボクのおやじの血を騒がせたようです。

ところで、ボクのおやじ、山登りが趣味。
若い頃から登っていたらしく、少なくとも年に数回は行っていたご様子。
友達と登っていたようですが、それでは飽き足らず家族も登ることに。
デビューはボクが小学校低学年、弟が保育園の時で 乗鞍岳 というところに連れて行かれました。
(入門者向けということで大丈夫だろということで自力で登頂させられる)
そして、それは家族だけでも飽き足らず、いとこや近所の同級生も連れて行かれることに。
また、同級生の親や仕事の関係の人にも声をかけ連れて行ってしまう。
そんなとてつもなく山好きなボクのおやじ。

話を戻します。
こっちは えっ、本気で と思いつつも
行きたいとおっしゃるので、意思を尊重。
というより家族みんなが止められなかっただけなのですが。。。
おやじは上へ登っていき、ボクらは予定通り下に降りました。
そして、ボクらは先に下に降りてしまったのでしばらく待つことに。
数時間後、おやじは満足げな顔をして駆け足で降りてきました。
降りてきて開口一番、5時間で登り降りをしてきた!、とおっしゃる。
とんでもないスピード。
通常は8時間かかるところですが、それをたったの5時間で行ってきてしまった。
恐るべし、おやじ。
というか、いくら自分の限界を知っているからと言っても危ないでしょ。
途中、山頂付近で小走りで登ったり、降ったりしていたらしく、
富士山の管理の方に危ないからと忠告をいただいたらしい。
おやじはテンションがあがっていたのかボクらにそんなことをネタにして話す始末。
そんなおやじのタフさに唖然。
ボクなどもそうですが、急に気圧の低いところに行くと
普通 頭がいたくなったりするのですが、おやじはならないらしい。
当時おやじ40歳。
とんでもなく体力があるとは思っていたけどここまでタフとは恐ろしいと子供ながら思った。
そして、競おうとか、勝ろうとか思ってないけれど、
どこまでいってもおやじには体力では絶対かないません!
と確実に印象づけれらた出来事でした。