小平健一 《軽鳥浮白》 @ギャラリー泛白

小平健一 《軽鳥浮白》 @ギャラリー泛白 

先日、小平健一さんの新作を拝見に、三重にある「癒・食・知」をコンセプトにするVISON(ヴィソン)にいった。東京ドーム24個分(約119ha)といわれる広大な敷地内に、小ぶりで真っ白な外観をした「泛白(うはく)」というギャラリーがありそこで個展が行われていた。
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新作は、小平さんの代名詞ともいうべきカラフルな色は封印され、白しばりというお題のもとで作品がつくりだされていた。一見では、いままでとは違う様相をみせている。遠くはなれてみるとモダンでクールにみえた。けれども、多様な白(経年変化?も含めて)、テクスチャー、複数の厚みにより、カラフルな色づかいの時と変わらずに楽しさや喜びが表現されていた。作品との距離感によって見え方が変わるのが本作の面白さに思える。
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以前から思っているのだが、小平さんは一定程度は正統的につくる技術を持っている筈(アトリエの屋外にある過去の作品を見る限り)。だがあえてエッジが甘い状態でつくっている。それにより全体が穏やかな雰囲気を醸し出している。それは、そぎ落とし一点に収束させようとするモダンよりも、横にどこまでも発散させたいポストモダンのようだ。または、単一性と多様性の違いといってもよいかもしれない。
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さて、現代の日常は雑多で多様である。そのような世の状態の中では、単一にした方が特殊にみえ、その存在は映えやすい。そして高貴にもなりうる。モダニズム以降の現代では作品をつくる上での王道だ。ただ、大衆の声の力が強くなったことで、創作の側もその社会の声に耳を傾けつつあり、作品づくりにも変化がおこっている。その際、大衆に迎合するのではなく、今までの王道の良さをくみ取りつつ、時代の変化も受け入れることが寛容なのではないかと私は思っている。小平さんで言えば、美濃焼きの伝統を組んで作品を制作している点であり、小平作品が陶芸と世間をつなぐ架け橋となるからだ
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小平さんは、日本の正統的な陶芸のありように自らの実践を通して問いや批評を投げかけている。これで、素人にも玄人にも関心をもたれる作品をつくられた。この先の行末を見守りたい。