竹内栖鳳

竹内栖鳳

日本画をみつめるためお盆に竹内栖鳳の展示をみに愛知県美術館に行った。美術家山田那美さんの個展を今月開催予定なので。 東の横山大観と並ぶ西の巨匠、竹内栖鳳。広告イメージで使われるのは、妖艶な女性の人物画。だから繊細な人なのかと思いきやぜんぜん骨太の人だった。

「日本の絵は平面的だと云う事がよく言われるのですが、実は日本人が志向してきことは、平面ではなく、奥行きの方なのではないか」と画家 山口晃の著、ヘンな日本美術史で述べている。そして、近代の日本画は、いわゆる西洋的な写実を取り入れる事で、「型」を捨て、写真の方に踏み入れてしまった。すると、これまで保たれていた絵画空間というものが次第に崩れていったとも述べている。

栖鳳の生魚の絵をみて美味しそう!とつい呟いてしまうぐらいに、具象性はある種のわかりやすさがあって親しみやすい。ただ、その具象性が写実的かというと必ずしもそういうことではない。描く対象の本質や描き手の精神を込めること「写意」が大事であると竹内栖鳳は考えていた。世の中の情勢がだいぶ変化しているので、建築含めて芸術、美術の有りようが見直されている昨今。具象性(近代以前)をみつめることで抽象性(現代)のありようを見直したい。